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憲法改正は必要か(35)

早速昭和21年2月1日の毎日新聞のスクープ記事を見てみましょう。
スクープしたのが実際にGHQに提出された改正要綱ではなく、委員会メンバー・宮沢東京帝大教授の私案に近いものであることは以前お話しました。
この記事を書いた当時の毎日新聞の西山記者自身もこれが確定案でないという認識があったようで、入手したのは「調査委員会の主流をなすもの」
と前置きしています。また興味深いのはこの私案の中の第4条に
「天皇は其の行為に附責に任ずることなし」
と書かれていることです。
天皇は統治権を総覧する、しかしその責任を問われない、という内容です。これは将来も含む天皇の戦争責任という問題を憲法調査委員会が危惧していた証左でもありますが、西山記者は続く社説の中でこのように述べています。
原文そのまま記載します。

しかし憲法の中核ともいふべき天皇の統治権については、現行憲法と全然同じ建前をとつてゐる。
即ち天皇を君主とし、日本国は君主国であるとなし、天皇が統治権を総攬すとすることにおいて、これまでと変りはないのである。

これは一見、天皇が統治権を総覧する(=天皇大権)という体制そのもののが変わっていないことに対する批判に見えます。
このスクープを受けた他の新聞なども批判的だったと言われていますが、実は西山記者が指摘したかったのは上に書いた宮沢私案4条の内容に関連して
「これでは天皇を守ることができない」という点でした。

明日この点を見ていきますが、天皇という存在に対して国民の多くが考えていたであろうことを極めてわかり易く表現しています。
では、また明日。

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