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憲法改正は必要か(38)

ここまで昭和20年〜昭和21年の憲法改正問題、つまり現在の日本国憲法の成立過程を時系列的にたどってきたわけですが、どうしても触れなければいけない一点ー天皇の戦争責任ーについてお話したいと思います。
これは結論的に戦争責任なしということで国際的にも決着がついていますので、戦争責任があるのかないのかという議論はしないしする必要もないと言う立場で私は話をします。以前述べたとおりですね。
以下、日暮吉延「東京裁判」講談社現代新書、2008年 P66-P74 を引用しながら記します。

アメリカは天皇制存続を占領政策を円滑にすすめるための道具と考えていたし、イギリス外相もポツダム会議中にすでに同趣旨のことを表明しています。第一次大戦後に皇帝制度を潰してしまったためにシンボルとしてのヒトラーに心を開いたという反省がある、というわけです。
2月26日に始まった極東委員会は3月に入ると東京裁判の準備に向けて動き出します。
でもこれまで書いてきたようにオーストラリアが天皇を裁判にかけろと言って聞かない。アメリカはすでに天皇不起訴方針を「政治的配慮」上の便宜措置として固めていたわけですが、この時期、すでに日本国憲法の草案は対外的にも公表されていて天皇制は維持されている。そもそもGHQは占領から半年にわたって天皇を占領政策に利用してきた、という既成事実があるわけですね。

結局、昭和21年4月3日、極東委員会は連合国共通の非公表の了解事項として天皇不起訴を決定をします。
これで政治的配慮であれ便宜措置であれ、天皇に戦争責任はないということが確定して、日本人は天皇を守ることができたわけです。

ではまた明日。

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