未分類

憲法改正は必要か(40)

松本委員会の憲法改正要綱の問題点、その2つめ、
明治憲法第11条にかかる部分ー「陸海軍」を「軍」と言葉を変えただけで天皇が統帥することに変更なしー
は完全にアウトだと以前触れました。ポツダム宣言の関係部分を抜粋してみましょう。

第6条 …無責任ナル軍国主義カ世界ヨリ駆逐セラルルニ至ル迄ハ…(中略)…新秩序カ生シ得サルコトヲ主張スル…
    日本国国民ヲ欺瞞シ之ヲシテ世界征服ノ挙ニ出ツルノ過誤ヲ犯サシメタル者ノ権力及勢力ハ永久ニ除去セラレサルヘカラス

第7条 …日本国ノ戦争遂行能力カ破砕セラレタルコトノ確証アルニ至ルマテハ…占領セラルヘシ

以前、民主的コントロールがしっかり担保できていれば、当初、松本委員会の政府案をそのまま受け入れ、GHQ案を提示することはなかったのではないか、とお話しました。
ただこの2番めだけは別です。ポツダム宣言第6条は軍国主義者が再び出てこないようにすること、第7条は日本から戦争能力を完全に奪う、と記されています。天皇の御聖断で日本政府は昭和20年8月14日、この条件を受け入れているわけですから、明治憲法第11条を残すということはありえないわけですね。

GHQとしては、松本4原則は了知している、出来上がりつつある日本側の憲法改正案について知ろうと思えばいつでも知ることができる、第11条が残ることくらいは知っていたはずです。たしかにいくつも案ができたり修正されたりしていましたし、毎日新聞・西山記者がスクープした宮沢私案では第11条・天皇の統帥権は削除されています。

これも以前少し触れましたが、自衛権の確保ーもちろん戦争などしないけれども自国を防衛する権利くらいはあるだろうーという意図で残したのだろう、と私は考えています。
この問題は日本国憲法の第9条を議論する際に改めてとりあげたいと思います。

では、今日はここまで。

-未分類