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憲法改正は必要か(61)

昨日の続きをもうちょっとだけ。
いま私は「憲法改正は必要か」というタイトルでお話をしています。
改憲派の主張は憲法改正の動機にはなりえても、憲法改正ををしなければならないという理由にはならないということも述べてきました。

憲法はなんのためにあるかと言えば、以前もお話したように権力者が暴走して国民の自由や権利を蔑ろにしないよう権力者を監視するためにあるわけですが、権力者が作る法律や政1府命令、条例といった「法」の根拠でもあるわけです。

自民党が提唱する緊急事態条項を例にとってみましょう。
これは関東東北大震災を例に上げて、既存の法律や政治体制では対処できない非常事態の際に、憲法の枠組みを停止して対応できるようにしておかなければならない、とするものですが、
つまり緊急事態において人権を制限することー憲法で保証されている私たち国民の自由と権利を政府の権限で制限できるーが可能になる規定です。
明治憲法にはこの規定がありましたが軍部に悪用されたため現憲法では削除されています。

国民の自由と権利を制限するには法律の根拠が必要です。その法律も憲法が許す範囲でしか制定できません。
国旗国歌法というのがあって、国旗は日章旗、国家は君が代と法律で定められています。ここまでは問題ないですね。
しかし「国民の祝日に国旗を掲揚しないと罰金!」「行事で君が代を歌わなかったヤツはタイホ!」なんて法律を作ったら、これは憲法第19条(思想及び良心の自由)に完全に引っかかりますからアウトです。
(公務員の場合は事情が異なります。これは後日またとりあげます)

だから地震や外国から武力攻撃を受けた際に、対応する法律を作る時間もないし、その法律の根拠となる憲法の規定がない(だからその法律は違憲になる)ので、法律の裏付け無しで国民の自由や権利を制限できるように憲法に明記しようとしているわけですね。

この緊急事態条項はまた後日改めてとりあげますので今は詳しい議論はしませんが、憲法改正はこのように「こういう事態に具体的に対応できないから憲法を変える必要があるんだ!」という議論が一番最初になされるべきなんですよ。

本当に憲法改正が必要なのか、このブログはそれを皆さんと一緒に考えていく場にしたいと思います。

 

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