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憲法改正は必要なのか(26)

今日はちょっと長くなるしちょっと難しいお話。
明治憲法の続きですが、「第1条 大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」という一文、これは立憲君主制を表すものだから、コレ自体批判を浴びる事はない。実際第一次大戦前のドイツ帝国は同様の立憲君主制だったし、日本が平和裏に統治されてればなんの問題もなかったわけですね。
以前お話したとおり、連合国は日本が軍国主義に再び走らないよう徹底的にその芽を摘もうとしたわけですが
じゃあ日本を軍国主義に走らせたのは何だったのかというと、昨日は書きませんでしたが。
第55条第1項、国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責ニ任ス
第55条第2項 凡テ法律勅令其ノ他国務ニ関ル詔勅ハ国務大臣ノ副署ヲ要ス
この条項です。
これどういうことかというと、各大臣はその所管の業務について、天皇と直接相談して物事を決められるということです。
天皇と大臣が直接つながる、いわば縦割りなわけです。
今の内閣制度では、国会の多数決で総理大臣が選ばれる、次に総理大臣が防衛大臣や経済産業大臣などの閣僚を指名します。
各大臣は総理大臣から指名されたわけだから、総理大臣の言うことを聞かなければならない。総理大臣の言う事聞かなきゃクビ。
でも明治憲法下ではそうはならない。総理大臣は一応総理大臣って名前が付いてるけど、閣僚の顔ってだけで他の大臣と上下関係はないわけです。

内閣の決定は全員一致が原則だったので、「オレ、それ気にいらねえし」とか、「オレ、やめるわ」って言えばその内閣は総辞職、つまりぶっ潰れる訳です。総理大臣といえど他の大臣をコントロールできない。加えて第11条の「天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」という規定によって大本営ー海軍の軍令部と陸軍の参謀本部ーが内閣から独立して軍が天皇と直結している。軍は陛下の皇軍であり総理大臣とて手を出せない。これが有名な「統帥権の独立」というやつです

おまけに慣習的に天皇は発言なさることはないから、戦争を始めるかどうか、どんな作戦で戦うか、軍は総理大臣にも国民にも一切告げる必要もない。総理大臣が邪魔をしようものなら、軍は海軍大臣や陸軍大臣をやめさせて後任を出さなければ内閣は潰せる。
だから軍の言うことやることに手出しはおろか口出しもできない。口出しすると「統帥権干犯!」ってことになるわけです。

では戦後日本はこの「統帥権の独立」をどうしようと考えたのでしょうか

つづく

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