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憲法改正は必要なのか(28)

さて、松本烝治率いる日本側「憲法問題調査委員会」ー松本委員会ーは、昨日お話した4原則に沿ってどのような案を作成したのでしょうか。
日本側がGHQに提出しようとした案は、松本烝治が独自にまとめた私案(いわゆる松本私案)をもとに、松本委員会のメンバーであった宮沢東京帝国大学(東大)教授が要綱の形に整理したものを、また松本烝治が手を加え、昭和21年2月8日にGHQに提出しました。
提出されるまでの間には委員会内で出た意見を加筆・修正したり、あるいは委員会メンバーが独自に出した私案があったのですが、昭和21年2月1日、毎日新聞がスクープしたのは、実はGHQに提出した「憲法改正要綱」ではなく宮沢教授が独自に考えた私案(にほぼ近いもの)でした。

当時の委員会の原資料を見ると「極秘」とか「秘」とかの赤いハンコが押してあるんですが、ちゃんと漏れちゃうんですねえ…
いつの時代も同じです。ちなみに改正草案をスクープした当時の毎日新聞の西山柳造記者(「西山事件」の西山記者とは違います。あちらは西山太吉。西山太吉氏のことはいずれまた話題にします)は、1997年に入手経路を明かし、草案は「憲法問題調査会(松本委員会)の事務局に資料があったからもらってきた、と明らかにしています。

では憲法問題調査委員会・松本委員会はどこをどう変えたのでしょうか。とりあえず国民の自由と権利については後回しにして、GHQに提出した憲法改正要綱の中から、私の独断で最も大切な関係部分を挙げると

1 第 1条の「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」 は変更なし
2 第11条の「 天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」 のうち「陸海軍」を「軍」に改める 
3 天皇が発する、軍の統帥(指揮)に関する詔勅には大臣の署名を必要とすること

この3点に尽きると思います。
今日はここまでにして、明日詳しく見ていきましょう

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