未分類

憲法改正は必要なのか(29)

では早速、昨日お話した憲法改正要綱案の重要なポイント3点を見ていきましょう。
まず三番目に挙げた国務大臣の責任です。これは私が何度か触れた明治憲法の最大の欠陥、国務大臣は天皇と直結して他の大臣に対して責任を負わない、気に入らないと言って辞めてしまえば閣内不一致で内閣総辞職に追い込まれる、という問題点が解消されたということ、加えて軍の統帥に関しても大臣の副署が必要になったということは、これまでのような統帥権の独立、軍の暴走という問題は避けられる、ということです。戦前、いかにこの内閣制度の欠陥が多くの弊害を招いたか。日本側として十分認識し、反省していたということでしょう。

そして一番目、天皇が日本国を統治する、つまり統治権をそのまま掌握するという部分は変更なし。
「国体の護持」がポツダム宣言受託の条件でしたから、日本側・松本委員会としては天皇が統治権を掌握する、いわゆる「天皇大権」は存続しても良いという認識だったわけですね。アメリカとしても天皇制そのものの存続は認めていました。実際にアメリカは日本についてはかなり研究していたはずですし、天皇制を廃止すること、言い換えれば天皇に手をかけたら日本人が暴発すると考えていたわけですね。だから占領政策には天皇制の存続が不可欠という考えをかなり早い時期から固めていたはずです。

でも天皇が統治権を総覧するという規定をそのまま残す、とまではさすがにアメリカも考えておらず、2月1日のスクープをみてアメリカ側が動き出したというのが有名なシナリオですが、実際それ以前の段階でアメリカ側として憲法改正案の構想(私案の形も含め)は出来上がっていたと見るのが自然だと思います。

ではこの続きはまた明日

-未分類